白蝶の雑記帳

儲からない時間、無駄な時間、考える時間。

趣味は読書と言いづらい風潮あるよね

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こんばんは、白蝶です。
今年初めの投稿なのであけましておめでとうございますです。

はじめに

ーある日の上司と白蝶ー
A「休日何してますか?」
白蝶「最近はずっと本読んでますね~」*1
A「どういう本?」
白蝶「ライトノベルとか心理学の本とかですね~」*2
A「ライトノベルって漫画とかアニメみたいなやつ?」*3
白蝶「だいたいそんな感じです。アニメの原作になってるのもあります」
A「へー。心理学の本ってなんで読んでるの?人の心を読みたいとか?」*4
白蝶「心理学で人の心は読めるようになりませんよ」


なんて脳内上司と会話してみる。一部実際に言われたことでしたけど。
趣味読書なんて言うとまあ会話が広がらない。世の中に自分と同じ本読んでる人間なんているのかね、なんて思うが読書メーターやってるとぼちぼち存在はしているらしい。

いやそもそも趣味に関して「わかる~」「それな~」なんて共感らしき会話をしたいわけではない、とも言い切れないが少なくともライトノベルなどの小説やその他の新書などを読んだときで異なる。

B「システィーナは女神だし、ルミアは天使なんだよな」
白蝶「それな!」
白蝶「イブの幼馴染として成長して嫌々言われながらもなんだかんだ結婚したいだけの人生だった」
B「然り」
オタク同士の会話なんてこれでいいんだよ。それな、とか、わかる、とかは「まあ別に俺もそう思うわけじゃないけどお前の言ってることは理解できるよ」くらいの意味合いで戦争にならないはずだ。


白蝶「『社会心理学講義』って本です。レオン=フェスティンガーさんの認知不協和理論とか、有名なアイヒマン実験とかひと通り網羅していて読み応えのある本ですね~。自由意志は存在しないって言い切るところは爽快ですよ」
B「アイヒマン実験は知ってるな。あの電気流すやつ。認知理論って何?」
白蝶「自分の認識と行動が食い違ったとき不快になるけど、その不快感を緩和するために自分の認識を無意識に行動に寄せてしまって食い違いを無くそうとする人間の心理ですね~。例えば」
とはならんだろ!いいかげんにしろ!
リアルで私の周りにアイヒマン実験ミルグラム実験を知っている人間なんているのかよ。いねえよ。大抵の人は知らない単語を多く並べられると思考停止してしまうのよ。「認知理論なに?」なんて言わねえよ。「へー」で終わるんだわ。


相手が仮に知っていたとしても説明するのも面倒。というか必要ないなら一言も喋りたくない。
白蝶「『社会心理学講義』。実に興味深い」
B「ふむ」
これでいいんだよ!

コミュニケーションにおいて「趣味は?」と訊く心理

p-shirokuma.hatenadiary.com
「内容の無いコミュニケーションを馬鹿にしている人は、何もわかっていない」
シロクマさん答えありがとうございます。趣味には当てはまらないかもしれませんが、大抵のコミュニケーションはこれが答えでしょう。


日常的な会話の継続が相手の存在を承認することになります。類人猿が毛づくろいの効率化のために言語を使用するようになったというロビン・ダンバーさんの考えがどれほど正しいかわかりませんが、今ネット上でよく見かけるので多くの人に広まっているのでしょう。


通常、初対面の自己紹介の流れで「趣味は?」という質問をされると思います。
それは普段どういう行動をして何をどの様に考えているのかという価値観を知ろうとする営みだとは思っています。
故に趣味の到達度というか、どの程度趣味を極めているかなどは全く気にする必要はないのですが、なぜか答える立場になると「その程度で趣味なんて言えないよなあ」などと考えてしまう


nmikami.hatenablog.com
同様に考えている人がいらっしゃいました。

かつて「趣味は旅行」と答えていたこともあった。だがそう答えると、「それではあの観光地は訪れたか」とか、「どこそこの世界遺産はどうか」といった話になりがちである。そんな典型的な観光旅行も嫌いではないが、それこそ読書や映画の話と同じで、趣味というほどの経験や強い情熱があるわけでもない。とくに相手が「趣味は旅行」だと考えていて、それにふさわしく各地への観光を楽しんでいる人だったりすると、かえって話がかみ合わないことすらある。やがて、自分の趣味は「旅行」でもないと考えるようになった。


それでも、旅は好きである。そこであるとき、自らが旅に出るときの高揚感について、ややつぶさに観察してみた。すると、自分がいちばん楽しいと思っているのは、目的地に着くまでの過程、例えば飛行機や列車に乗って、車窓からの景色が変わるのを楽しんだり、機内や車内で飲んだり食べたりしながら時間を過ごす部分だということがわかってきた。

この方は一般的なカテゴリー「旅行」をよく観察して自分にとっての本質のようなものを見つけ、それを回答とすることにしたようですが、なまじ「乗り物や徒歩で移動すること」を趣味と答えるのは一般的ではないため他者の反応を気にしてか苦手意識は依然としてあるようです。

  • 趣味であるかどうかに知識・経験量は関係ない
  • 一言で表せる一般的なカテゴリーでなくても良い

趣味を答えるときにこれらは留意されるべきだろう。仕事で何が得意ですかと聞かれると答えにくいと感じる場合と同じく、周囲の人間との相対化をしてしまうのが問題ではないだろうか。
グローバル化、ITの普及によって1世代に満たない期間で関わる人間の範囲が広がってしまった。まだ多くの人間はそれに適応できていないと思うのだが。

翻って自分においては、やはり読書が好きだ。時間や金に関して少し余裕が与えられたときにその行動を選択してしまうならばそれを好きと言って良いだろう。

さて、趣味が読書の人間の価値観を引き出す場合効率の良いアプローチは一体何か?
答える立場に立ってくれ。答えやすい質問が良い。さらに言うとなるべく過程を説明させたほうが多くの情報を話すことができる。つまり追加質問のヒントを得られる。オープンクエスチョンなんて言われるやつですが、踏み込みすぎると警戒されるらしい。

下記の質問ならばどうだろうか?

  • どうやって読む本を選んでいますか?
    • 好きなジャンルがある
    • 好きな著者がいる
    • 本屋で人気の平積み本を選ぶ
    • SNSで紹介された本を選ぶ
  • 図書館は利用しますか?
    • 多読で買うと破産するから専ら図書館利用派
    • 書き込みたいから買う派
    • 電子書籍が良いから買う派
  • 平日も読む時間を作っていますか?(≒いつ読むか)
  • 子供の頃からよく読んでいましたか?(≒いつから読んでいたか)
  • 面白いけど人に勧められない本ってありますか。
  • 他の人に比べて読書に関連してこだわりがないところってありますか。


変な質問並べて考えましたが、意外と好きなことならどんな質問が来ても平気なのではないか。
先程の旅行が趣味というと疑問に思っていた方も、旅行と言われるとどこか答えられず趣味と言うには気後れしていたようですし。
趣味が何か考えるとき、自分に対して質問して困るか困らないかというのは案外良い判別方法かもしれない。今度1人質問コーナーみたいな記事書いて考えて見ようと思う。

相手の価値観を知る意味とは

そもそもこの記事は小坂井敏晶さんの『社会心理学講義』の感想を書こうと思って書き出しました。
しかし何故か趣味の話が延々と続き、終らないので諦めて方向転換となりました。
(まだ2周目の途中読んでいるところなので方向転換は丁度いいといえば良いのだが)

社会心理学講義』に趣味なんて全く出てこないのですが、一体何故脳内上司と会話する書き出しになったのか全くわかりません。
現在読んでいるのが第8講の「自由と支配」なので、自由意志が存在しないとか、格差とか支配に関して読んでいたのでそのせいかもしれません。*5


さて、人は全体としては変化しないように見えても、劣化・成長によって常に細部は変化します。
趣味・興味・暮らし向き・好み・身近な出来事などの相手のことを知ったとしても、次の日、来年には事情が変わっているかもしれません。外交的な方、話好きな方、女性の多くは苦もなく、もしくは苦労を見せず情報のアップデートを行っています。
面倒くさがりで喋りたくない私は「もっと広く適用できる一般解があればなあ」と思うわけです。とはいえ万人に対して使用できる受け答えを求めているわけではなく、これさえ知っておけば8割間違いないだろうというその人の根本的で抽象的な価値観を求めています。


私の例を挙げます。
「生きた情報にはあまり興味がなく、死んだ情報に興味がある」「人となりに興味はないが人の能力には興味がある」「他人の称賛や非難に大して価値を見いださずその時面白いと思ったことを実行する」「周囲の皆が右を向いていたら左を向く」「全体最適化を好む」「搾取されなければ不自由でも構わない」


上記の例が不変なものばかりではありませんが、二十数年生きてきて概ね間違っていないことばかりです。こういうのって当人しかわからないと思うのですよ。
これを趣味とか日常会話から割り出すの無理ゲーじゃないでしょうか。


行動原理を他人に気軽に教えることがリスクがあるとはいえ、友人や会社の同僚には話しても構わないと私は思います。
周囲にテイカー、自己愛性パーソナリティー障害、サイコパスがいる場合はリスクが高いと思いますが、どれほどの確率でしょうか?
そもそも大抵の人は一回言ったくらいでは具体的な出来事すら忘れてしまっていることが多いです。いわんや抽象的なことをや。


「行動原理」と「何が出来るか」を理解できればそれでいいじゃん。

また、私は言葉によってではなくて人の行動・発話・言語・表情パターンを見て考え方を推し量ろうとしがちです。内容は仕事の報連相でも機能するのでそれ以外の会話をすることで概ね事足りてる気がします。
まあ、他の人が私のことを理解できていないらしいのでそれだけではダメらしいのですが。


とはいえ私も現在の仕事を選ぶ基準の一つに「他者と話さざるを得ない」職種を選びました。大学のときに引きこもって人と話さずに生活していたら喋る能力がやはり低下したので、生きていく以上それはまずいと感じて好きではありませんが強制的に話す状況に自分を持っていきました。

そういう意味で少しは喋ったほうが良いという主張ならわかるのですが、やはり毛づくろい的コミュニケーションには苦手意識があります。

最後に

文中で書いた効率的な質問集が思いの外良いのではないかと感じた。
各分野を趣味としている人に質問集を作ってもらって共有すれば面白そうだな。

それではこのへんで、おやすみなさい。

*1:読むスピード、ペースはすごく...遅いです...。

*2:どういう本って言う質問ホビロン。(ホビロン:「本当にびっくりするほど論外」の略)

*3:アニメと漫画を一緒にしないでほしい。メディアの違いを理解せよ!

*4:いわゆる心理テストの存在が害悪。

*5:休日まで思い出してもらえるなんてさぞ良い上司なんだろうな。