書籍か電子書籍か ~或いは認知的不協和理論のこと~
こんばんは、白蝶です。
目次
アンチ電子書籍的考え
- サービスが終了すると読めなくなる
- 紙と比較すると頭に入らない
- 目が、目がぁ~!
- 本棚感が足りない
- 紙の質感が良い
- めくる残ページを感じられなくてつまらない
よくあるアンチ電子書籍派の主張ですが、Kindleユーザーの私も概ね同意します。
Kindleがサービスをいつ終了するかわかりませんが可能性はありますし、紙よりも目が画面上を滑る気がしますし、E-inkでもバックライトをつけると目が疲れますし、本棚作って一望する機能はさほど強くないし、ページをめくるときは画面タップや音量ボタン押すわけだし、残りページ数は%表示できるので趣が無くなったなと言う感じはします。
電子書籍派の考え
- 複数の持ち運びが楽
- 部屋を占領しない
- 引きこもりでも購入が楽、早い
- 文字サイズ、行間、余白サイズが変更できる
- 間違って2冊買うことが無い
- ハイライト付けられる
- 文字列検索できる(人物名とか便利)
- いくらでも積読できる
電子書籍派は紙に不満があるわけではないが、電子の利便性を享受して紙に戻れなくなった人が多いと思います。いつでも複数持ち歩いているから気分で読む本を変えられるし、部屋には端末が増える程度だし、ワンクリックで即座に購入できるし、文字密度が高い読みづらい本も行間を広くして読みやすくできるし、一度購入すれば購入済みと表示されるから「あれこの本買ってなかったよな?」と思って間違って2冊目を買ってしまうことはないし、伏線とか重要そうなポイントにハイライト付けられるし、ミステリー読んでて「こいつ誰だっけ」とおもったら人物名で検索すれば関連する箇所を読み返せるし、いくら購入しても床が抜けない。
あとあまり語られませんが、ミステリーなどで少しページを戻って見返したい場合、スマホ、タブレット、Kindle端末、PCなど複数端末で開けば紙以上に参照しやすい。
それでも書籍が良い理由
電子書籍は利便性の点で選びますが、満足度の平均は紙のほうが高いと私も思います。なぜか? フェスティンガーの認知的不協和理論が影響しているんだろうなという結論です。
私の経験上、書籍の駄作を買ってしまっても何となく憎めない事が多いです。おそらくヒューリスティックとしての保有効果と認知的不協和理論が関係しています。
保有効果によって、本を持っていない場合に比べて、持っている場合にその本を高く評価してしまう。
または、自分で代金を払って手に入れたのにつまらないという認知不協和を解消するため、「面白かった」「面白くはないけれど悪くはなかった」と自分の認識を変えてしまう。
自分と同世代の若い人でもまだ電子データの価値を軽視する人は多い気がします。ゲームにお金や時間を費やし、SNSにおいてテキストデータで感情的な触れ合いを求めているにも関わらず、物質的なものそれ自体に付加価値を感じている。当然電子書籍の所有感は紙の本に比べて低く、電子書籍では保有効果はさほど働いていない。
経験上、電子書籍も慣れれば認識上紙と大差ありません。電子書籍を使わない人は慣れることがないため、保有効果による紙の優位性から抜けられません。否定しているわけではなくこれはこれで幸せなことだと思います。
無償で得られたものより対価を払ったものの方が、他人に決められたことよりも自分で決めたことの方が満足感が高いということに私も思い当たるフシがあります。面白くない話の中に無理矢理面白いポイントを探して言うほど悪くなかったよな、と事実は変えられないため認識の方を変えてしまう。
電子書籍を購入した場合はこれらのバイアスはかかりにくいのではないかと。内容を評価するためにバイアスを排除したいならば電子、精神的に楽しみたいならば本。このような棲み分けも面白いのではないでしょうか。
ただし、プログラマとかDTMで音楽作る人とか動画制作するひととか、電子データの成果物に馴染みがある人で電子データの価値がわかる人は、電子書籍であっても書籍と同様のヒューリスティックは働くのでしょうね。
電子書籍を多用するようになって気づいたこと
- 表紙を見なくなったため著者名やタイトルを覚えにくくなった
- 新品しかないから出費が増えた
- 漫画のように同じ本を何度も読み返すことが少なくなった(年取ったせいかも)
みたいなデメリットがありましたが私は携帯性の利点で全て無視できます。書籍も全く買わない訳ではなく気に入ったものは本屋で購入しますし、図書館で借りることもあるため100%電子ではないことが書籍or電子という手段に対する程良い距離感なのかもしれません。
とりあえず今日はここまで。おやすみなさい。
参考URL
認知的不協和とは? 意味、悪い例と解消法、ビジネスにおける活用術、併せて覚えたい用語、関連書籍について - カオナビ人事用語集
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