白蝶の雑記帳

儲からない時間、無駄な時間、考える時間。

都会人はみんな馬鹿だから風邪なんてひかない 【虫とゴリラ】

こんばんは白蝶です。

ここ最近小説の合間に養老さんと山極さん*1の対談本を読んでいました。
2021年9月22日の時点でKindle版は199円で購入できたのでノリで購入。


養老孟司さんの定期読者なので本を見つけたら買いますが正直養老さんの言いたいことは他の本何冊か読めば理解できるので、精神安定剤として服用しています。


昔の人は「本を読むと馬鹿になる」と言ったそうです。時代を経て「漫画を読むと馬鹿になる」「テレビを見ると馬鹿になる」「ゲームをすると馬鹿になる」と言われ、最終的に「好きなことばかりしていると駄目になる」と言われています。*2


農業や体を動かして働くのが主流だった昔の人は、現実に直結しない「概念的なこと」「空想的なこと」にうつつを抜かす行為は馬鹿、という感覚を持っていたのでしょう。
現代でも「空想的なこと」にうつつを抜かすことに対して攻撃的になったり批判的になる人はいますが、根底では「身体的・感覚的でないこと」に昔の人は批判的だったのに対して、現代人は「意味が理解できないもの」に対して批判的です。現代人の例として「オタクバッシング*3「独身批判」「無自覚の優生思想」*4等でしょうか。


現代は言葉を用いることによって現実を抽象化、実際の体験から感覚を排除することで、知識などを共有しています。
現代のオフィスでは感覚は不要で、医者は患者を見ずにカルテを見て診断し、経営者はは消費者を見ずにデータを見て判断します。
そうして感覚を排除した結果、脳は身体的・感覚的なものへの理解力を低下させています。脳は不要なものを徹底的に省略しようとしますので。


人工的なものは「ああすればこうなる」という手順と結果に再現性が高いものを常に求められています。
自然は人の目から見ればまだまだランダム、もしくは制御しきれるものではないため自然から積極的な想定できないほどの影響を受けることを人は嫌います。
「綺麗な景色を見て感動する」ことはパッシブな影響、「ペットの世話」は積極的な面があるが想定・制御可能な範囲な影響。
幼児は自分をコントロールできない、言葉を自由に扱えないという点で自然そのものです。人の想定外の行動をする点で大人は幼児を嫌います。見て可愛いなどと言うのは綺麗な景色を見ているだけと同じことです。
子供の頃は平気だった虫に対して、大人になってから嫌悪感を抱くのは虫が予測不可能な自然だからです。逆説的に虫が平気な人は人工的な意識に侵食されていないか、ある程度虫というものを予測できているかでしょう。多様性を理解し予測不可能な自然をあるがままに受け入れているのでしょう。*5


人工的なものは全て人の意識が生み出しています。その意識は手に余る自然というものを嫌っています。
大人は意識の産物ですが、その大人の身体は脳を含めて全てあくまで自然です。
感覚への理解を低下させている人は自分の体のことに対しても無自覚的になるでしょう。


さて、「馬鹿は風邪を引かない」という言葉があります。
馬鹿は風邪を引かない - Wikipedia

この言葉は馬鹿は鈍感で冬にひいた風邪に夏まで気づかないということを例えています。
www.excite.co.jp


都会人は書を読み馬鹿になり、感覚を無視しているから風邪なんてひかない。そんな考えも面白いと思った。
なお上記はほとんど本に書かれていないことなので読書感想にしても感想成分がかなり高い(当社比)。


私は夏にクーラーで冷やしすぎて風邪をひくし、冬は薄着で風邪を引く。衣替えの意識も弱いため春だろうが秋だろうが風邪をひく。
私は冬にひいた風邪に気づかずに過ごすほど馬鹿じゃない。毎シーズン欠かさず風邪をひいている。この意味で残念ながら立派な都会人だ。子供の頃の田舎に住んでいた頃から都会人だ。
風邪をひくなんて自然なことだ。社会人なら自己管理しろなんて不自然極まりない。私も下記と同意見だ。
dennou-kurage.hatenablog.com



最後に読書に関する名言を貼っておきます。
shuppankagaku.com

わたしはデカルト「あらゆる良書を読むことは、過去数世紀の最高の人々と会話するようなものだ。」という言葉が好きだ。
読書しすぎると現在のことに無知になってしまうということを言ったのもデカルトだっただろうか。


それでは今晩はこの辺で。


P.S. 新型コロナは自分の体が自然だと意識するいい機会だなんて言うと批判対象となるだろうか。

*1:やまぎわと読むらしい。初めて見た名字でした。

*2:最終が10年前とは......。実際はスマホとかSNSでしょうね。

*3:若い人の間ではなく中年~高齢の方の視点ですが

*4:某YouTuberが批判されましたが言っていないだけで多くの人がその考えを根底に持っていると私は思っています。私自身その考えを自覚したことは過去にあります。

*5:2022/01/11修正